3月20日(日)14時~16時 於広島大学附属高等学校 多目的教室
広島大学・佐藤先生による韓愈「雑説」教材研究発表がありました。
「中国に於ける文体の変容」に着目し「雑説」を読み解くことをテーマにあげた発表でした。六朝から盛唐に用いられた対句や平仄などを重視した美文・四六駢儷文から中唐以降に用いられた古文への文体の変化の背景には、安禄山の変による社会の変容による人々の認識の変容があるのはないかということでした。このような観点から本文を解釈するには、「雑説」の内容を否定文、反語文、感嘆文になっている個所を整理し、李白の「春夜宴桃李園序」と比較することで「文体はどのように変容したのか」を考える授業ができるのではないかという提案でした。
その後の意見交換では、大角先生から音読と黙読がいつの時代にどちらが主流だったのかということ。畑村先生からは授業の中で扱う際、美文と古文をどのように説明するか、なぜこのような文体が必要となったのかという点にどうやって迫っていくのかということ。山際先生からは「也」の使い分けをどのように見分けていくのかといった意見が挙がりました。そして、文体に着目し授業の際に「雑説」と比較するのは「先従槐始」(『十八史略』)ほうが授業で扱いやすいのではないのかというところまで話が及びました。
もの・ことが変容していく背景には人の認識変容や社会から求めるものの変化があります。何気ない変化にも「なぜ変化するのか」、「なぜ変化が求められたのか」ということを探っていくことで物事を捉えなおすができるでしょう。授業の中でこのような変化に着目し、その理由を深めることが、物事を客観的に捉え、判断することのできる力の育成につながるのではないでしょうか。
さて、今回もオンラインでの開催となりました。オンライン上での発表により、山口、静岡、東京、兵庫などからの参加者を得て、語り合う学びの場となりました。様々な状況の中で柔軟な対応ができるのもオンラインならではの良さでしょう。次回もよろしくお願いします。 (鶴田めぐみ記)