皆さま
ご健勝のことと拝察いたします。
6月の漢文研です。
6月26日(土)14時~16時 於広島大学附属中・高等学校
高知県立大学、高西成介先生による「塞翁馬」の「善術者」をめぐる発表、静岡県御殿場南高等学校、望月勇希先生による劉禹錫「賞牡丹」の授業の実践報告、広島大学佐藤大志先生による「桃花源記」の教材研究が行われました。高西先生による「塞翁馬」では、前回の月例会に話題となった「善術者」とはどのような存在と考えられるか、本文に出てくる「翁」を「其父」と読むか、父子とは関係のない「翁」と読むかで解釈が異なるという話になりました。また、望月先生による「賞牡丹」の授業の実践報告では、「芍薬」「芙蓉」「牡丹」を女性に例えているところから擬人化表現を取り入れた授業の提案がありました。近年、ゲームや小説などで様々なものを擬人化され生徒にとって身近なものとなっている点に着目し、生徒と教材の間を近づける授業の構成でした。その際、この詩が持っている風刺にいかに着目させていくかというところまで話が及びました。佐藤先生による「桃花源記」の教材研究では100ページに及ぶ資料を基に「桃花源記」の物語世界に着目した教材の見方の提案がありました。「桃花源記」という作品を志怪小説ととらえるか、陶淵明の作品の一つとしてとらえるかというところから「桃花源記」の授業について考えていきました。
「桃花源記」で語られる「桃源郷」は中国だけでなく、日本の文学作品の中にも理想郷として登場します。それほど、古人と現代の私たちの心を捉える世界なのでしょう。
今回もオンラインでの開催となりました。高知、静岡、東京などからの参加者を得て、またさまざまな資料を読み解き、語り合う学び場となりました。次回もよろしくお願いします。(T,M記)