9月漢文研のまとめ

 9月26日(日)14時~16時 於広島大学附属高校 多目的教室

先月の研究会で岡崎康治先生の漢文法授業提案の際に安田女子大学・先坊幸子先生から疑問に上がった否定「不」の漢文法として扱いについての解説。広島大学・佐藤先生による李白「黄鶴楼送孟浩然之廣陵」の教材研究発表がありました。

 先坊先生と岡崎先生による否定「不」の漢文法における扱いでは「不〜。」(しかセズ・せず。)「〜不。」(〜いなヤ。)「〜未。」(〜いまダシ。)「不者〜。」(しからずんば〜。)の「不」は助動詞として扱うか副詞として扱うのか。また、生徒にはどのように教えるのか。という議題となりました。「不」がどの位置にあるか。また、疑問の意味が含まれているかが判断の基準なるとのことでした。生徒への指導する際には、文末助字(助動詞)は捉えにくいため、文末にあり、疑問の意味を持つものとして教えるとよいのではないかという結論となりました。

 また、佐藤先生による「黄鶴楼送孟浩然之廣陵」の教材研究の発表では「作品の背景」を結び付けた授業構想の提案がありました。作品の背景に触れることで李白と孟浩然の関係性や社会背景への理解が深まることで作品世界をより豊かに想像していくことができるのではないかということでした。さらに、指導の着眼点として、「作品の色彩」に着目することで詩の前半と後半のイメージのギャップを捉える授業、漢詩カードを用いて、意味を類推させる活動を含めた授業の提案もありました。

 着目する視点を変えることで、言葉は多様な表現が生まれます。中でも詩は、凝縮された表現に決められた字数の中にさまざまな様相を持った世界が表現されています。詩の持つ豊穣な世界を教室で想像し、共有できる授業を創造したいという思いを強くしました。

 今回もオンラインでの開催となりました。オンライン上での議論も白熱し、このあり方も次第に板についてきたように思います。10月もよろしくお願いします。(T.M記)