12月2日(金)漢文教育研究大会が開催されました。県内外より多くの先生方にお集まりいただき、実りの多い研究大会となりました。
主題 漢文で育む力
研究授業(1)『荘子』「胡蝶之夢」の学習
-高校2年-学校法人比治山学園比治山女子高等学校 望月 勇希
「胡蝶之夢」は「物化」と「斉同」について述べた『荘子』の中心思想です。その思想に迫ると同時に、生徒自身の思考力や伝え合う力を高める授業を目指しました。
研究授業(2)
研究発表 対話性に着目した思想の授業
-高校2年-学校法人海星学園海星高等学校 植田 隆
「対話の有り様を考える」授業の実践として、「曳尾於塗中」(『荘子』)と「子貢問政」(『論語』)が報告されました。意見の異なる他者が、自分と異なる立場に気づき、自己の思考についての認識を更新していく対話の価値を考えさせる授業でした。
研究発表 (1)(2)
思想教材を授業実践する際に直面する難しさと面白さについて意見交換がなされました。「春望」については、尾聯に着目させることで、杜甫の心情をより深くとらえる可能性について活発な協議がなされました。
講演 漢文は日本文学である-『論語』と白居易の詩編を巡って-
神鷹 徳治
「子貢曰貧而無諂、富而無驕。何如。」(『論語』)を和刻本をテキストにして、対句と異文について解説していただきました。また、白居易「香鑪峰下、新卜山居、草堂初成、偶題東壁」における押韻の問題についてわかりやすく説いていただきました。
月例会報告 思想教材『老子』の教材研究と指導案
広島大学 佐藤 大志
佐藤大志先生から、2016年度月例テーマ『老子』の教材研究のあり方について概説があり、その後「小国寡民」を例に教材化するにあたっての具体的な方法の説明がなされました。岡本先生からは「『小国寡民』を通じて『いまを問う』」、「『大道廃有仁義』を通じて『価値観を問い直す』」、「『無用之用』を通じて『柔軟に思考する』」の三つの指導案を提案していただき、老子の思想を生徒たちの生活に結びつけて深く考えさせる授業の具体について説明していただきました。