平成30(2018)年度 漢文教育研究大会

12月7日(金)漢文教育研究大会が開催されました。

主題 漢文が創る深い学び

研究授業(1)「学而不思則罔」(『論語』)の学習-中学2年-
比治山女子中学・高等学校 白濵 翔太

「学」と「思」という、普段何気なく目にしたり使ったりしている語のとらえ直しを、論語を通じて行うことを目標とした授業でした。その際、ほとんどの生徒が知らないであろう「罔」と「殆」という語について、数ある意味の中から、自身の「学」と「思」を見つめ直しながら考えていくという方法をとりました。それにより、生徒一人一人が「学」「思」「罔」「殆」の注釈作業を経験することまでできたのではないかと考えています。

研究授業(2)研究授業 (2)「語る」ことと「語られる」こととの間 -高校Ⅱ年-
-『史記』の場合- 広島大学附属福山中・高等学校 古田 尚行

  授業では『史記』の「項羽本紀」をとりあげながら歴史を語ることについて考えました。壮大なテーマです。『史記』は複雑に編纂された作品であり、司馬遷という固有の存在が姿をのぞかせているわけでもありません。今回は太史公である司馬遷が項羽に対する評、いわゆる「論賛」を併せて読むことでどういう人がどういう歴史を語ろうとしているのかについてせまってみました。



研究発表 「先従隗始」の構造
-図解力をつける漢文の授業- 宇部工業高等専門学校 畑村 学

 図解力は物事を他者に的確に伝えるためだけでなく、自己の考えや理解を整理する上でも大切な力です。本実践では、生徒に図解力のパターンを指導するところから始め、様々な漢文の構造を図解させることで、漢文の内容読解指導にとどまらず、学習者の思考力と表現力を養い、社会人として必要なスキルを身につけさせることを目指しました。

月例会報告 『史記』の教材研究と指導案 広島漢文教育研究会    

 今年度の月例会では『史記』の教材研究と指導案の作成、検討を行ってきました。
 従来、編者司馬遷の影響を強く反映した読みが行われてきましたが、毎月の月例会では、近年の『史記』研究を踏まえて、編者司馬遷と『史記』本文との関係を一度棚上げとした上で、個々の教材本文が何を問おうとしているのかを、本文の記述に即して読みとろうとしてきました。そして、個々の教材本文が提示する問題を、学習者が自己の現在と関わらせながら、主体的に取り組み、書き手と対話し、深く考える授業を目指して、指導案の検討を重ねてきました。

研究協議の様子

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